東京漂流瓶集配局

物語と音楽を偏愛しています

菜の花の彼─ナノカノカレ─(12)


菜の花の彼─ナノカノカレ─ 12 (マーガレットコミックス)
(2017/2/24)
桃森 ミヨシ (著), 鉄骨 サロ (著)
既刊12巻


あらかわいい菜乃花さん(表紙)。今回は本編中で常にも増して率直無双だから、ちょっと表紙でバランスとってるのかもしれないw

今巻を通じて描かれたのは、いままで幾度も鷹人や桜治の口にのぼった「取り戻す」ということがどんなことなのかを、実時間を使ってたっぷり見せるというものだった。でも、菜乃花レビューで何度か書いてきたように、この作品には「各人が経てきた経験と選択の不可逆な積み重ねこそが、その人の現在をかたちづくる」という一貫した主張がある。
つまり…ぶっちゃけて言うと今巻の読みごこちは、「ダンジョン内のあきらかなハズレルートの奥を確認しに行く」ことにそっくりだった。行き止まりの予感しかしない。そんな冷厳な展開を、シリーズ中で一番コミカルに描写しているのがしんどくも面白かった。

でも、たとえ行く手に未来へつづく扉も階段もないのだとしても、行き止まりにはたいてい宝箱があるものだ。きっとその中には、今後進んでいくための鍵となる何か・他では得がたい何かが入っているんじゃないのかな。菜乃花と鷹人は行き止まりで何を見出すのだろう。物語は終盤に向けて着々と進んでいる。

ではネタバレつつ語ります。


【第66話】
自分の写真を撮らない二人に納得。なるほどたしかにそんな雰囲気だね。千里が書き文字で「その顔持ってて!?」と言っていたのに後から気づいて噴いたw

半年ぶんの記憶が飛んでも、それを勉強の遅れとしか認識しない菜乃花はちょっとこわい。高1なのに、そんな植物的自認で大丈夫か。それとも、部活に入ってなくてオタクでもなければそんなものなの…?(部活かけもちのどオタクだったので、1週間が7日じゃ足りないような気分が高校時代のベース記憶)

隼太の記憶を失った菜乃花を心から気づかっているのに、それでもこのタイミングにつけこんでしまう鷹人に涙。真逆であっても、どちらの心情も本当だからしょうがないね。

【第67話】
開き直った鷹人に返すことばがなくなる千里だけれど、じつは彼女の台詞はまんま鷹人にもあてはまったりする。「みんなよってたかって(ないがしろにする)」鷹人の恋心に、鷹人本人が味方したからこの事態になっているのだ。純粋恋愛脳なのに、鷹人の手に負えないドロドロした恋心にはまったく理解も共感も示さない千里はやっぱりちょっと残念な子だ。今巻ではそれなりに活躍していたけれど、もう少し、あと少しだけ彼女に成長と変化を…。

【第68話】
菜乃花がなぜ鷹人とつきあうことにしたのか、わたしも知りたかった! そして、

私が最初に鷹人くんに 惹かれた所って
付き合ってるうちに 私がとまどうようになった所と 一緒なんだなって

という述懐に目がくらむほど納得した…! そしてその制御不能なほどの情熱とは、菜乃花が秘めている性質と同じものでもある。自分の情熱に誠実だけど表し方が不器用で、しかもその炎熱は一点集中型で外には漏れず、端から見るとクールでミステリアス…。うん、やっぱり菜乃花と鷹人はほんとに似た者どうしだ。

千里がずっとこだわっていた「会った瞬間に思い出すかも」という希望的観測は粉々に叩き潰される。隼太の表情が切なくて泣けるが、このときに何も起こらないのはしかたない。だって隼太は喋っていないからだ。
きっと菜乃花が次に隼太(あるいは桜治?)の声を聞いたときに、物語は急展開するのだろう。

【第69話】
なんでも券www でも意外とそれがベストだった気もしなくもない。何してほしいか尋ねることができるからね…。

こうなってほしい・こうあるべきだと自分が思う理想のために猪突する千里と対照的な健介の姿勢が印象的だ。彼は鷹人を煽ったりたしなめたりするけれど、絶対に静観の構えを崩さない。尋ねられたことには答えるし協力もするけど、自分が知っている情報をペラペラ喋ったりはしない。いま菜乃花と隼太が両想いであることを尊重し、親友である鷹人の想いをただ見守っている。…こう考えると健介パイセンまじですごいな。隼太みたいな中3男子はいないだろうけど、健介みたいな高1男子もそうそういない気がする。

【第70話】
菜乃花がおめかししてる! かわいい! みとれている鷹人もかわいい。菜乃花に向かって「かわいい」と発音できたら仲も深まるだろうけど、そんなこと簡単に言えたらこんな苦労してないよね知ってる。

デートのプランと現実がかけ違い、七転八倒する鷹人の姿にリアリティがある。でも花柄グッズでハイビスカスをチョイスするって…ほんとに察するのが苦手なんだね…。
プレゼントについての行き違いで菜乃花が黙ってしまわなかったのは、失った半年があり、それを大切に思う千里からのことばがあったからだ。上手いなぁ。
菜乃花からプレゼントをもらって、素で驚き喜ぶ鷹人の表情がほんとにかわいい。

【第71話】

なに心配してなに大事に思ってるかが違うだけでしょ
今の菜乃花を不幸にしたいわけじゃないのに 怒んないで

お、千里がちょっとカッコよくなってきた。いいぞその調子。

きちんとコミュニケーションする、と決意したはいいが、鷹人さんが始めたのは菜乃花の取説づくりであった…。いや、常々もっと素直になればいいのにと思ってはいたが、素直になったらなったで心底めんどくさい男だな!www それにきちんと対応する菜乃花の表情がくるくる変わっておもしろかわいい。
読者がそう思うのと同じように菜乃花も鷹人をかわいいと思い始めるが…さっくりと物語は隘路の突き当たりを示してくる。


さてさて、いよいよ面白くなってきた。菜乃花が隼太の声を聞くのはいつだ。
次巻は5月25日!
関連記事
スポンサーサイト

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:https://messagebottles.blog.fc2.com/tb.php/219-c04ae9a4
該当の記事は見つかりませんでした。