東京漂流瓶集配局

物語と音楽を偏愛しています

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。


6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 (角川スニーカー文庫)
(2017/11/1)
大澤 めぐみ (著),‎ もりちか (イラスト)

全1巻


目玉が飛び出すほどすばらしい出来だったデビュー作『おにぎりスタッバー』(→感想はこちら)、それに劣らぬ完成度のシリーズ第二作『ひとくいマンイーター』(感想はまだ)につづいて、待望の初ノンシリーズタイトル登場ー!

おにぎりシリーズで日常を図々しいまでに浸食していたファンタジックな諸要素はすこし鳴りをひそめて、今作はぐっとリアルに振った青春群像劇だ。といってもわたしはこの作者の新作というだけで、表紙もあらすじも何ひとつチェックしないで引っつかんで買ってきたので、これが群像劇だということは2話で語り手が交替したことによって初めて認識したのだった。
んでも読んでいる間じゅうはあまりの良さに動悸があがったし、読み終わったらあまりのすばらしさに叫び声が出てしまったので、結果オーライ。大澤めぐみ作品にハズレなしという確信を新たにした。

長野・松本の進学校を舞台に、高校デビューしそこねた優等生の香衣(かい)、サッカー部のエースの隆生(たかお)、学内唯一のヤンキー龍輝(りゅうき)、香衣の親友ポジションを占めるギャルのセリカの4人が、それぞれ語り手をリレーしながら綴っていく物語…なのだが…この本を読むにあたってこの情報はぜんぜんなくたってかまわない。これは青春と、自意識と、友情と、秘密と、嘘と、後悔と、恋と、別れについての美しい物語で、このワードのどれかがひっかかる人はただちに読んだほうがいいからだ。

4人はおたがいをそれぞれの視点から眺めているけれど、眺められている当人が語り手に回ったときにその外側からの印象はコロッコロとひっくり返される。素の自分、努力と演出によるなりたい自分、外面から漏れ出している天然の自分、その総体としての自分。それらはすべてことなっていながら、すべてひとつのものだ。゛ある場における〇〇キャラ“という現象の、ほんとうのリアルがきっちり描かれている…。各章の扉絵も、基本的には少し距離をおいたキャラどうしの視線の交わらない一瞬を切り取っていて内容にぴったりだ。

全部で3番ある「早春賦」が各章のモチーフになっているけれど、それだと1章ぶん足りない。ある章にはまったく毛色のちがった歌が引用されていて、そしてその章の担当キャラがこの物語全体の読後感を決定する超重要な働きをしているという行き届いた構成が心憎かった。少年少女のリアルな語りでいろいろな状況下での訣別を繰り返し積み重ねていくこの作品は、読んでいてほんとうに胸がちりちりする。それでも、エピローグの痛切な別れのなかには、目が眩むような力強さと希望がしっかりと用意されているのだ。ありがてぇ…。

なんだかわたしはこの作品を読み終わったとき、極上の少女まんがを読んだような気がした。
最近、新書判のいわゆる少女まんがをほとんど買っていない。表紙・あらすじ・設定を眺めても、なんとなくわくわくしなくなったからだ。それはわたしが歳をとったせいもあるだろうけれど、以前より少女まんが全体の多様性がなくなったせいもあるんじゃないかと思う。ざっくり見渡すと、「現代の」「日本の」「学校を」舞台に、主人公の「少女が」「少年と」「恋をする」ことにポイントを絞った話ばかりのように見える。わたしがかつて読んでいた少女まんがは、このカギカッコ内に無数の選択肢が代入されていて読みごこちも多岐にわたっていた。たぶんいま、そういったフリーダムさと多様性はBLのほうで花開いているんだろうな。
ともあれ、この作品には、「そちらには進化しなかった少女まんが」「あるかもしれなかった少女まんが」のような、うしなわれた豊かな可能性的たたずまいがあるのだ。とはいってもこの作者と作品の魅力は、キャラごとの思考と文体の差が手に取るようにわかることなので、これはやはり小説じゃないとダメなんだけどさ。
前作とおなじく、ああこんなものが読みたかったんだなぁと読了して初めて気づく。そんな経験を何度もさせてくれる大澤めぐみは、わたしにとってほんとに得がたい作家だ。次はどんな繊細にして鮮烈なものを読ませてくれるのかなー。

関連記事
スポンサーサイト

スピリットサークル


スピリットサークル 01―魂環 (ヤングキングコミックス)
(2012/12/10)
水上 悟志 (著)
全6巻


少し前にHONZでこの作品がめっちゃ推されていた(→記事群はこちら)のをなんとなく覚えていたのだけれど、最近DQ11関係で知った字書きさんも激推ししていたので弾みがつき、全巻買って読んでみた。予想どおり傑作で、予想以上な傑作でもあった…!

ところがこの作品は、あらすじを紹介したところでその読みごこちがまったくわからず、どこがどういいのか説明するのがとても難しい。けっきょく「いいからとりあえず読んでみて!」と言うしかなくなる…というあたりが諸レビューの伝統芸のようになってすらいる。でもそれで逆に、それなら読んでみるしかないかなーという興味をそそられたのだ。
わたしも伝統芸に倣いつつ、せっかくだからなるべく読みたい気分を煽れるようなあれこれもがんばって書いてみたい。

ではまずあらすじから…w

ほんのり霊視ができる中学2年生の桶屋風太(おけやふうた)のクラスに、石神鉱子(いしがみこうこ)という美少女が転入してくる。額の大きな傷を堂々とさらしたその姿に風太は心ひかれるが、鉱子に全身全霊で拒絶されて死ぬような目に遭わされ、「あんたには あと7回死んでもらうわよ」と告げられる。
風太と鉱子は何度も何度も生まれ変わってはそのたびに殺し合いつづけてきた存在どうしだったのだ。風太は鉱子との因縁を探るために、謎めいたアイテム「スピリットサークル」を用いて己の前世を順にめぐりはじめる。


ジャンルとしては輪廻転生SFファンタジーになると思うのだけれど…はい、このあらすじだけじゃ何がなにやらですよね知ってます!

では何が面白いのかというと、まずは「輪廻そのものが面白い」ということがあると思う。
現代の中学生の風太は、スピリットサークルの力で7つの前世を経めぐってゆく。このまんがはわずか全6巻なのに、そのなかに7人ぶんの人生のすべてが折りたたまれて入っていて、しかもそれらが相関しているのだ。劇的な人生もあれば穏やかな人生もあり、それぞれの生の主人公はそれぞれ違う時代と場所で、生きて考えて行動して死んでゆく。
それらの人生の機微はそのつど細かく読者の心を衝いてくるし、しかも「何度生まれ変わろうとも必ずお前を殺す」とまで言われるほどのことをしでかした最初の人物・フルトゥナをめぐる巨大な謎が強烈な牽引力になっている。
そう長くない尺に見合わないほどに濃密で壮大な読みごこちには、壺中天を覗いてしまったようなユニークな驚きと満足感がある。

そのうえでさらに重要なのが、「過去生で会った人とは今生でも近しい」という“縁”の感覚がしっかりと描きこまれているところだ。
小学校時代から仲の良いクラスメイトが前世でさんざん酒を酌み交わした相手だったり、前世で敬愛していた工房の親方が今生でもごく身近にいたり。風太も過去生の主たちも、ふとしたときに親しい相手の面影の厚みのようなものを感じとる。こんなことが前にもあったような気がする、こいつとは前にも会ったことがあるような気がする、と。過去生の主たちと違ってその感覚が事実であることを知る風太は、そのたびに滂沱と涙を流しては怪しまれてしまうけれど、読者ももちろんその感覚を共有しているのでやはり泣きたくなるような心もちで読んでしまうのだ。
この「縁を感じる」描写のこまやかさ、つまり「なつかしいという感情の尊さを明確にすくいあげたこと」こそが、この作品を傑作としている大きな要素なのではないだろうか。
“なつかしい”とは、自分でも忘れていた過去を拾いあげて愛おしむ感情だ。それは、自分という存在が過去から現在までの記憶の蓄積で構成されていること、かつ、現在の時点での自分がそれを肯定的にとらえていることを示している。なつかしさとは、自分の生をかえりみて肯定することなのだ。
リアルな自分の人生やほかの物語ではそう何度も得られることのできない、途方もないなつかしさを重層的多角的に投げかけられるのは、七生を経めぐるこの作品だけに可能なことだ。そんなリッチきわまるエモさが、この作品の最大にして独自の魅力なのだと思う。

そしてそれは、「自分がこの人々に親愛を感じることには根拠が・理由がある」という幸福な実感をもうみだしている。
わたしたちは、自分が好きな相手のことをもっと知りたい。そのいっぽうで、なにもかもすべてを知り尽くしてしまいたくはない。言い換えるなら、「いつでももっと知りたいと思っていたい」という若干メタな衝動こそが「好き」という感情の中身だと思う。ちょっと話がずれるけど、「自分のどこが好きか言ってほしい」と思うタイプの人は「相手が自分のどこに注目してくれたのか知りたい」のだし、そう問われるのが苦手なタイプの人は「具体的に言挙げすることで相手を知り尽くしたようになってしまいたくない」のだ。同じひとつの「好き」のなかにあるレイヤーの、どちらをアクティブにしているかだけが両者の差なのだと思う。閑話休題。
過去生からの縁があるということは、相手を好きなことに余人には及ばない特別な理由があるのを、相手を知り尽くすことなく確信できる特権的な関係なのだ。転生ものという設定や運命というワードが中二マインドを直撃するのはそのためだろう。

そんなふうに精密に折り重ねられた過去生と縁の物語は、フルトゥナのおそるべき秘密が顕われる終盤に至ってすさまじい盛り上がりをみせる。いままで描写されてきた過去生のすべてと、各所に散りばめられてきた伏線が怒涛のように収束し、長きにわたる魂の闘争の物語はこのうえなく美しくしずかに(かつちょっとコミカルに)幕を閉じる。
風太は自分が暮らす町から離れることはないし、過去生の主たちも定住者のほうが多い。それでも、自分のホームを離れた地で見たことがないものを見て自分に帰還するこの作品は、ひとつの/たくさんの長い旅の物語なのだと思う。
あまたのなつかしさに彩られた壮大な旅を経て、なんてことのない日常が無二の輝きをはなつすばらしいロードムービー(コミック)だ。この胸が絞られるようなせつなさと多幸感を、わずか6巻で堪能できるとはなんとしあわせなことだろうか。まんがが好きでこの作品を未読の方、心の片隅に中二な自分を保持している方は、一刻もはやく読んだほうがいい。


…さて、何がいいのか必死に書いてみたけれど、少しは興味を煽れただろうか? この感想がきっかけで読んでみたという人が一人でもいればうれしいのだけれど。
そして、スピリットサークルについての感想をまとめているはずなのに、わたしの脳裏にはどうしてもDQ11がよぎっていたようにも思う。だって、「こんなことが前にもあったような気がする」というのは後半の大事なキーフレーズだったし、「なつかしいという感情の尊さ」こそがあのゲームの最大の趣向だったのだから…。このまんがが好きで未プレイの方は、一刻もはやく遊んだほうがいい。
そんなわけで、わたしの愛してやまないあのキャラの、スピリットサークルのテーマにも響きあう重要な台詞を引いてこの文章を締めようかな。

オレたちは もう一度 お前と旅をするからな! また 会おうぜ……!!

空がレースにみえるとき


空がレースにみえるとき (ほるぷ海外秀作絵本)
(1976/9/20)
エリノア・ランダー・ホロウィッツ (著), バーバラ・クーニー (イラスト), 白石 かずこ (翻訳)


誕生日祝いのミステリーツアー(→記事はこちら)のおまけとして頂いたこの絵本。これは、わたしが小さい頃から死ぬほどリピートしていた1冊だ。今回新品を手にして改めて読んでみたら、やっぱりすごすぎて溜息が出てしまうほどだったので紹介してみようと思う。

ビムロスって 知ってる? きれいな もやみたいな雲のこと
ビムロスの夜は 空がレースにみえる
そんな空 見たことある?
いつもじゃないけど ときどき そんな空が あるのよ。

という語り出しからはじまるこの本は、ビムロスというふしぎな夜に何が起こり、その一夜に参加するにあたってどんなルールがあるのかを、ぽんぽんと読者に向かって放り投げてくる。その現象もルールもシュールきわまるもので、たぶん初めて読む人は誰でも乗り遅れた感じを味わうのではないだろうか。
でも、さっぱりわけのわからないことをさも当然のように少女の断定口調で語られていると、なんだかツッコむのもおかしいというか、おかしいと感じる自分がおかしいというか、だんだん謎の酩酊感・浮遊感にからめとられていってしまうのだ。いつのまにかビハインド感はどこへやら、おかしなビムロスにじわっと興味が湧いている。その感じが唯一無二でほんとうにたまらない。

まず、うさぎや キスするおさかなと しゃべってはいけません。
それから どんなにかゆくても 鼻をかいちゃいけません。
オレンジ色は きちゃいけません。
パンティでも だめなのよ。

幼少期のわたしには、真夜中に外で遊ぶことはもとより、この世にオレンジのパンツが存在することすら認識の外だったので、なんだかもう目玉が渦巻きになるような心持ちだったことをハッキリ思い出すw
おかしな遊びを羅列されたあとに、

あなたには このなかで 2つだけ すきなあそびを えらべるわ。

と宣言されると、どの遊びならできるか・やりたいかをなぜか必死に考えてしまったり。
この本ではなぜかやたらとかわうそ贔屓とうさぎ差別が激しい…と思っていたけれど、よくよく見るとうさぎもちゃんとビムロスを楽しんではいるのだ。かわうそと扱いが違うだけで。初めて読む方、読み返す方は、ぜひうさぎが各所で何をしているかに注目してみてほしい。

そんなマジカルできてれつな夜を描き出すバーバラ・クーニーの絵がほんとうにすばらしい。
ビムロスの空はもちろん、その薄明の下で遊ぶ少女やかわうそたちを、読んでいる実感にぴったり沿った浮遊感で描いている。すべてが青紫の夜景なのに1冊読んでも飽きることはないし、「得体がしれなくてちょっとぶきみなのにこわくない」というバランス感覚が絶妙すぎる…!
奥付ページを見てみたら、「板に水彩、色えんぴつ、クレヨンで描いたもの」と記されている。…板!? どの絵を何度見返してもまったく木目がみえないけれど、この奥深いにじみは板が吸収した水彩ってことなのだろうか…。板…!

そして、かつてのわたしは、ビムロスにあこがれ眩惑されてはいたけれど…たぶん本心ではしりごみしていて、参加してみたいと思ったことはなかったようにも思う。どんなに特別ではじけて楽しそうな夜でも、かたつむりやジャムやパイナップルソースといった単語からにじみでるぬるぬる・べたべたとした感触、うさぎへのちょっとした無意味ないじわるルールなどが、ほんのりとしたおぞましさ?のような気配をひそませてもいるからだ。
ものすごく心ひかれるけれど飛び込むのはためらわれる。そんな逆ベクトルの緊張感もそなえたこの本の魅力は、もしかしたら子供にとっての不良っぽさ・「わる」な感じだったのかなぁと今になって思う。

目をみはるほど美しい青紫の夜に息を呑みながら、子供っぽい悪徳によろめいてみてはいかがでしょう。

関連記事

局長からの年次報告瓶(3)

みなさんいつも閲覧やコメントなどありがとうございます。本日で開設3周年…らしいです。早いなぁ。
この1年間で書いた記事は55件。お仕事の都合で書く時期と黙る時期の差がはっきりしてきましたが、均すとだいたい週刊ぐらいな感じですね。

アクセスがそこそこ多い記事は、去年とほとんどラインナップが変わりません。
もともと自分の吐くことばをフローよりはストックみたいにしたいなーと思ってツイッターではなくブログを始めたので、古い記事に安定したアクセスがあるのは安心することでもあります。なるべく読み減りしない文章を書いていけたらいいな。

去年との如実な変化は、やはりアニメについての記事が増えてきたことでしょうか。アニメ鑑賞経験値がちょっとずつ上がってきたので、アニメについて語ることにもちょっとずつ慣れてきたように思います。最近思うのは、きっちり面白くなる話数って1~2クールぐらいなことが多いみたいだなーということです。1年間4クールつづく往年のアニメって、やっぱり捨て回もあったよなぁとw
とはいってもまだまだ素人なので、もっといろいろ観て精進したいです!

それから…あれこれ書いてきたら、続刊の感想を書かないままになっている宿題シリーズが増えてきたなぁと若干焦っております。猫瞽女とか、恋だの愛だのとか、四弦のエレジーとか、グリムガルとか、アルデラミンとかとか…。どれも忘れてません! とくに完結作品は時が満ちたら必ず感想も完結させますので、気長にお待ちいただければありがたいです。

では、当局的近況をざくざくと。

●まんが
『スピリットサークル』がものすごかったので、近日中に感想を書きたいです。(書きました!→記事はこちら
『彼方のアストラ』も超たのしいので取り上げたいなぁ。
『テラモリ』も今まで書きそびれてたけど、完結が視野に入ってきたからもっと寝かせるか…。
『10DANCE』の再開ばんざい! 『雷神とリーマン』の続刊待機中。BLはもっと読みたいな。

●ラノベ
『86』2-下を待機中。
いまさら『最果てのパラディン』の感想でも書いてみようかな?
『異世界拷問姫』は公式様に捕捉されてしまったようで畏れ多い。これも宿題シリーズだー。
大澤めぐみの新刊はまだゲットできてないのでくやしい。早急に買わねば!

●アニメ
秋アニメでぶっちぎりに楽しいのは、やっぱり『ドリフェス!R』。二期に期待することが幕の内弁当のごとく美しく詰められている安心の仕上がり…。数多ある男子アイドルアニメのなかで、あまりにもチャラチャラしてない古風なスポ根ぶりがたまらない。大好きです。ダイナーとプロアニとMマスは…勉強のために観てるけど、いささかしんどい…。
『宝石の国』『クジラの子らは砂上に歌う』は、原作は脱落してしまったんだけどアニメのほうが観やすくて楽しいかも。宝石3話の、ダイヤちゃんの神速ダッシュは目の快楽すぎてうっとりしました。
『魔法使いの嫁』『十二大戦』もチェックしてます。グルグルとボールルームもひきつづき。
細谷ボイスを摂取不足すぎてつらい。

●音楽
先日ラジオでモーツァルトがたくさんかかって、「あ、最近モーツァルト足りてなかったな」と感じました。わたしにとってはビタミンとかカルシウムのようなものらしいです。もっと聴こう。
あとはあいかわらず、しつこくグラスを聴いてます。それからブラームスやドヴォルザークやメンデルスゾーンなどをちょっとずつ。
新機軸としては、イタリアのバロックにちょっと手を染めてみたりもしました。お城っぽくなくて教会っぽくない、市井のバロックが楽しいです。

●ゲーム
8月末にクリアしたのに、いまだに頭の中はDQ11…ってかカミュのことでいっぱいで、毎日Pixivの主カミュタグを徘徊してます。2周目をはじめるのがもったいなくて、なんとなく『Caligula』に手を出してしまったり(細谷チャージ)。あと『Ever Oasis』を積んでます。大航海サボり中;

●映画
出先で『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』のDVDを1枚1000円でみつけたので思わず1~3を揃えてしまいました。カンフー映画は少ししか観たことがないのですが、リー・リンチェイ(だったころのジェット・リー)のアクションが大好きです。『英雄』も欲しいなぁ。『グランド・マスター』や『イップ・マン』も観たりしているので、しばらくはこの界隈を回遊しているつもりです! 人の身体って、あんなに素早く複雑に美しく動くものなんだなぁ。眼福。
『斉木楠雄のΨ難』を観て笑ってきました。蝶野とか海藤とかイタい人がイタいことをしているときの、いたたまれない間の取り方が強烈だったな。屋上シーンの、あの斜め上からのぼやーっとした構図とかなんなの?w そして、実写のパパ(田辺誠一)とママ(内田有紀)は一見以上の価値あり! 「火打石」が笑撃すぎて忘れられない。


こんなところでしょうか。みなさんもどうぞ良きフィクション摂取を!
ご意見やご感想などはいつでも口を開けてお待ちしております。何かありましたらお気軽にどうぞ~。

関連記事

クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(ロンド)

「クロスアンジュ 天使と竜の輪舞」第2弾PV


数年前に放映されたこのアニメ(→公式サイト)がちょっと気になっていたのだけれど、先日「とても観る人を選ぶ」というようなコメントをどこやらで目にしたのがきっかけで観てみた。そういわれると逆に気になるじゃん! ほんとに合わなかったらリタイアすればいいし。

で、わくわくしながら第1話を観てみたら…なるほど強烈!

マナという超技術を操る人類は、戦争・飢餓・環境破壊などの問題を克服し、平和で豊かな社会を謳歌している。
そんな地球上の国家のひとつであるミスルギ皇国の第一皇女アンジュリーゼは、至尊の子として何不自由なく育ってきた。ところが、16歳を迎える洗礼の儀に際して、実兄ジュリオから「ノーマ」であることを全国民の前で暴露される。ノーマとはマナを使う能力が欠落した突然変異の人類のことで、女性にしか顕れない。反社会・非文明を体現するノーマは、何歳であろうが発見された瞬間に即逮捕され隔離される被差別階級だった。
すべてを奪われたアンジュリーゼは絶海の孤島の収容所に送られる。そこはアルゼナルと呼ばれる軍事基地で、ノーマの少女たちが変形人型兵器パラメイルに搭乗して、人間世界を脅かす異次元からの侵略者・ドラゴンと戦う前線だった。名前すらも奪われてアンジュと呼ばれるようになったアンジュリーゼもまたメイルライダーとなり、ドラゴンとの戦いの日々に身を投じていくことになる。


…というような幕開けで、ノーマは女性しかいないのでもちろんアルゼナルは女性だらけ。物語はまず「掃きだめに叩き込まれた高慢ちきな元皇女様」という構図の女囚ものとして始まるのだった。んで、主人公アンジュは収容所にブチ込まれるときに直腸&膣検査されてるんだよね。初回からいきなり。そしてそこから、あこがれのお姉さまあり、陰湿なイジメあり、レズビアン乱交あり…と、おっぱいとおしりが咲き乱れる画面でいろんな趣向がふりきれた話が展開する。あー、人を選ぶってこうゆうところかしら。さほどショックを受けなかった選ばれしわたしはきっちり完走してしまったよ。
刺激の強い描写があふれるいっぽうで、世界から拒絶された女性たちが支え合いながら必死に戦いつづけているアルゼナルの連帯意識は強い。いがみあったり嫉妬したりもするが、基本的にきゃいきゃい仲良くしているあたりは女子寮もののようでもある。拒否反応100%だったアンジュも、急速にふてぶてしく成長しながらアルゼナルに根をおろしてゆくのだ。

ジャンルとしては美少女ロボットアニメで、トゲトゲしたデザインのロボたちの高速戦闘と美少女とけしからん衣裳とお風呂シーンにあふれてるんだけど…なんか根本的にヘンだ。作り手たちは確実にすべてを狙ってやってるんだけど、その狙いがあらぬ方、というか。「こんなんで喜ぶやつぁいねえよ!wwwww」と大喜びしてしまう感じ、といえば伝わるだろうか?
最後に対峙するラスボスはぶっちゃけ神様なんだけど、その神様は全能であっても全知ではない。それどころか、身体は神様! 頭脳はチンピラ! といった風情で作中ぶっちぎりのヘイトを稼ぎまくってくれる、すばらしいドクズ悪役だ。睨んだだけで服がパァンしたり、籠絡したノーマたちに裸エプロンさせたり、下だけ剥いてスパンキングしたりさー。ほかにも、車椅子のお姫様が全裸の半竜おねえさんをムチでしばきたおすシーンとかもあった。
美少女アニメなのに、これで興奮するようなうっかりした人はほとんどいないんじゃないかなぁ。肌色と嗜好盛り盛りなのにまったくもってエロスがないこの感じはなんていうんだろう。お色気?で合ってる??

ノーマ差別をごく自然に内面化したお姫様は危ういなーと思っていたら、その回のうちに地獄に突き落とされる。ものすごく純朴でいい子は、その回のうちに死ぬ。なんだこの超速のフラグ回収! 全25話の尺のなかで、平和にみえていびつな世界の秘密が次から次へと暴露されていき、状況と敵味方はめまぐるしく転変していく。
差別と欺瞞に満ちた世界に刃向かっていく物語は熱いし、登場人物たちはみんなやたらと欲望にストレートだし、苛酷な運命にくじけずしぶとく成長してゆくアンジュはしたたかでカッコいいし、設定や展開はえぐくても見心地はなかなか爽快だ。たしかにアクが強いから、「超面白かった!おすすめ!」と言いがたいところはあるけどもw
後で知ったら、サンライズつながりでいろいろな作品のオマージュやカメオ要素を含んでいたらしい。わたしに素養がないのでぜんぜんわからなかったけれど、元ネタをいっさい知らなくてもじゅうぶんに楽しめたなぁと思う。

自分個人はすっごく楽しんだのにそれを公言するのがちょっと憚られるこの感じ(って公言しちゃったけど)…これはなんだか『はぐれアイドル地獄変』の読後感に似ているな…。あれもむやみに面白いんだけどそう言いづらいから、記事は立てずにここでこそっとカミングアウトしておこうw さまざまな癖(ヘキ)をぶっちゃけまくっているこのブログでも正面きって取り上げるのがためらわれるあたりで、雰囲気はお察しください。オモシロイヨ!(小声

以下ネタバレつつ、印象的だった場面についてちょっとだけ語ります。

関連記事